【活動報告】「ひろがる未来」ー対等・水平な関係での対話を通じてつながる声・ひろがる未来ー を開催しました

2026年2月22日(日)、ウエスタ川越南公民館にて、令和7年度埼玉県NPO基金助成(応援:埼玉県浦和競馬組合 社会貢献活動)事業である「ひろがる未来」を開催いたしました。

これまで当法人が開催してきた「つながる声」シリーズでご登壇いただいた3名の方々が一堂に会し、参加者の皆様と共に「普通」という境界線を問い直し、対話と共感を通じて「ひろがる未来」を描く、非常に有意義な時間となりました。

連休の合間にもかかわらずご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。当日の様子と、そこで交わされた深い対話の一部をご報告いたします。


イベントの趣旨:「普通」を問い直し、共に描く社会へ

「社会が定める『標準』に合わせて生きるのが当たり前」。私たちは日々の暮らしの中で、無意識にこうした価値観に縛られています。

「マイノリティ」とは個人の属性ではなく、社会が何を「普通」と定義するかによって生み出されるものです。本イベントでは、個人の困難を「自己責任」として閉ざすのではなく、私たちの社会が持つ「普通」という概念そのものを「リバリュー(再評価)」し、誰もが排除されず安心して暮らし続けられる未来を共に探求することを目指しました。


第1部:個別報告「つながる声から見えてきたもの」

第1部では、それぞれの視点から、最近の状況や社会への思いをご報告いただきました。(※植田涼さんは当日体調不良のため欠席となり、動画でのご紹介となりました)

Kさん(アルコール依存症・双極性障害当事者)

アルバイトから正社員へと環境が変化する中で、再び自分の機嫌をとることの難しさに直面したという等身大の気づきを語っていただきました。「断酒から10年経っても回復は進行形であり、変化を恐れずに向き合い続けることが必要」という言葉が印象的でした。また、依存症団体の中だけで通用する「当たり前」に留まらず、社会全体の多様な当たり前に触れていくことの重要性をお話しいただきました。

リチャードソン 幸さん(セクシャルマイノリティ当事者 / 3Dアニメーター)

ご自身をノンバイナリー、アセクシャルアロマンティック等と定義する幸さん。アメリカでの18年間の生活や里親の経験を踏まえ、人種・性別・セクシュアリティなど複数の属性が交差する「インターセクショナリティ」の視点について解説していただきました。日本のパートナーシップ制度の限界や、海外で結婚・養子縁組をした場合の日本での法整備の遅れなど、当事者目線での具体的な社会的課題を共有していただきました。

杉山 英和さん(潰瘍性大腸炎難病患者 / 難病ピアサポーター)

「難病」の定義と、見た目では分かりにくい激しい痛みを伴う病気ゆえの苦悩を語っていただきました。症状の波により「普通」に合わせようとして長期間就職できなかった経験を経て、現在はピアサポーターとしてNPO法人を立ち上げ、当事者目線の相談支援を行っています。2月28日の「世界希少・難治性疾患の日(RDD)」の啓発活動にも触れ、まずは社会に関心を持ってもらうことの大切さを訴えられました。


第2部:パネル対話「当事者同士のクロストーク」

第2部では、登壇者の皆様同士でのクロストークが行われました。

  • 自己開示の難しさと配慮: 開示による不利益(就労での壁など)を恐れて隠さざるを得ない社会の現状について意見が交わされました。杉山さんは「隠すことに疲れ、今は開示して必要な配慮を求めることで自分なりの幸せを見つけた」と語りました。
  • 形骸化する制度と「形だけ」の支援: 日米の支援姿勢の違いから、日本では当事者の声を直接聞かず「研修を実施した」という事実だけで満足してしまう傾向があることが指摘されました。また、新しい支援の「箱(施設)」ができても、既存の手帳制度などの枠組みに縛られ、本当に困っている制度の抜け穴にいる人が救われない現状が30年前から変わっていないという鋭い指摘もありました。

第3部:参加者を交えた対話「分かった気にならないことの大切さ」

第3部では、参加者と登壇者が一つの輪になり、「トーキングシンボル(それを持っている人だけが話し、他の人は聴く)」を用いた対話を行いました。

  • 「カテゴライズ」の危険性: 人を「〇〇障害」「LGBTQ」といった一つの枠(パーツ)だけで語ることはできません。人は多様な属性の集合体であり、カテゴライズすることが当事者間の分断を招く懸念があることが共有されました。
  • 幼少期からの教育: 大人の固定観念を変えるのは難しいため、子どもの頃から多様な生き方や病気があることを自然に学ぶ教育環境が必要不可欠だという声が上がりました。
  • 「分かった気にならない」こと: イベントを通して最も重要だった気づきは、「今日話を聞いて分かった気になってはいけない」ということです。「分かった」と思った瞬間に思考は止まってしまいます。「自分はまだ分かっていない」という前提に立ち、継続的に対話し続けることこそが、分断を防ぎ、共生していくための鍵であると確認し合いました。

終わりに

この日、ウエスタ川越南公民館の講座室には、多様な「声」が響き合い、新しい未来への想像力が広がる空間が生まれていました。

リバリューライフは、今回の対話で浮き彫りになった「制度の抜け穴」や「当事者不在の支援」といった課題に対し、これからも声を上げ、学び、対話を続けていきます。

ご参加いただいた皆様、ご支援いただいた埼玉県NPO基金、埼玉県浦和競馬組合の皆様、そして心に響くお話をしてくださった登壇者の皆様、本当にありがとうございました。

これからも「つながる声」を絶やさず、「ひろがる未来」へ向けて共に歩んでいきましょう。

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